汚されたイスタンブールダービー−サッカー
2007.05.21 Monday | by popo
トルコリーグ第33節が19日に行われ、稲本潤一が所属するガラタサライはホームにジーコ監督率いるフェネルバフチェを迎えた。結果は2−1でフェネルバフチェが勝利した。稲本はボランチとしてフル出場した。ガラタサライは2位のベシクタシュが勝利したため、3位が確定し、来シーズンはUEFAカップに出場する。
この試合でサッカーをプレーしたチームはなかった。両チームの選手が悪いプレーをしたわけではなく、ガラタサライサポーターによって「プレーさせてもらえなかった」と言うのが正しい。フェネルバフチェのFWケジュマンは、「人生でこのようなことは今までなかった。ピッチで生き続けるために頑張った。ピッチで石を見た、ナイフを見た、すべてを見た。とても驚いている。こんなことになるとはまったく考えていなかった。試合で勝利したこととともに、生きていることに喜んでいる」と振り返った。
この試合では開始から終了のホイッスルが鳴るまで、止まることなくスタンドからコイン、ライター、電池、携帯電話、ペットボトル、発煙筒、爆竹、そしてスタンドからはがされたいすがピッチに投げられた。序盤はフェネルバフチェの選手に向けて投げられていたが、試合が進むに連れて、サイド、コーナーフラッグ付近でフェネルバフチェとガラタサライの選手がボールを奪い合うと、ガラタサライの選手にもこれらのものが当たるようになった。イスタンブールダービーであることから、多少のことは起こり得るが、この試合は異常だった。記者席にいたトルコ人記者も「近年見たことがない」と理解に苦しむ事態になった。
こうしたガラタサライサポーターの妨害にもかかわらず、アウエーのフェネルバフチェは前半24分にDFルガーノ、39分にDFエドゥーがFKからゴールを奪い、2点をリードして前半を終えた。
後半に入っても妨害は収まる気配はなかった。後半3分にはバックスタンドで大量の発煙筒がたかれ、試合が中断した。8分に再開したが12分に大量に投げられたペットボトルのため再び試合が中断。審判は控え室に戻り、スタジアムが落ち着くのを待ち、27分に試合を再開したが、それでも妨害は収まることはなかった。ガラタサライは後半60分(中断したため)にCKからゴールを奪ったが、追加点を奪えず、1−2で敗れた。
トルコメディアはガラタサライ対フェネルバフチェのイスタンブールダービーを世界に誇るダービーと報道している。強烈なライバル心から来るテンションの高さ、またその雰囲気が尋常でないためだ。だがこの試合は、世界に誇るよりもむしろ、恥じるべきダービーとなった。トルコでもっとも質の高い選手を抱えるチーム同士が行う、トルコでもっともレベルの高い戦いとなるべき試合が、観客によってぶち壊された形となった。大衆紙『ヒュリイェト』は、この試合の見出しを「フットボールの死んだ夜」とつけた。
毎年のようにサッカーで騒動を起こし、サポーターの在り方が問われているトルコだが、あらためてこの試合を振り返り、改善していく必要があるようだ。ジーコ監督は「サッカーの中で生きているすべての人、私も含めて、役員、監督、選手はサッカーが素晴らしいスポーツになるように全力を尽くさないといけない。長い歴史のライバルはいつでもあるべきだ。だが、みにくいものであってはならない。ライバルの競争はピッチの中であるべきだ」と話し、サッカー界全体で改善していくことを求めた。
稲本はボランチとしてフル出場した。稲本は「集中してやれる環境ではなかった」と話し、ほかの選手同様に難しい環境の下でのプレーを強いられ、特別な存在感を見せられなかった。だが、この試合ではほかの選手も同じで、存在感を見せた選手はいなかった。それでも、稲本はチームとしてミスが多かったことを説明し「足下へのパスでミスしたり、イージーミスが多かった。こういう環境でももっとやれれば良かった」と話した。
また、残り1節となり、いまだに来季の去就が未定だが、これについては「選択肢はクラブにあるから、クラブがオプションを行使するかということから始まる。自分の気持ちとしては残りたい」と残留を希望した。
スポーツナビ 最終更新:5月20日18時25分
カテゴリ:- | 06:52 | - | trackbacks(0)
おすすめプーさん